若いうちから一生独身で生きることを選択し、他人に干渉されず、好きなことをして過ごす「おひとりさま」が増えている。
その一方で、高齢世帯での一人世帯も増加している。
人生100年時代と言われていますが、これからの将来の生き方を、しっかり考えたことはありますか?今の生活スタイルのままで大丈夫?
- 「人生100年時代」の老後はいいことばかりではない
- おひとりさま(一人世帯)が増加している現実
- 人生100年時代の生活の利便性の向上と変化
- おひとりさまは、収入の確保と計画的なライフプランニングが必要な時代の到来
「人生100年時代」の老後はいいことばかりではない
「人生100年時代」と言われることが増えている。
平均寿命はどんどん伸び、会社の定年年齢が引き上げられるところも増えてきた。仕事が気に入っている人にはいいことだけれど、そうでない場合は苦行だ。
老後に国から十分な年金をもらえず、働く期間が増え、簡単にはリタイアできなくなる可能性がある。
人生が100年だとしたら、あなたは今どの辺りにいるだろうか?
20〜30歳代なら、そんな先のこと考えてもしょうがないと思うだろうし、今が大事と思うだろう。
40〜50歳代なら、親のことで悩んでいる人もいるかもしれない。
60歳代以上なら、仕事はリタイアして趣味に時間を割いているかもしれないし、パートに出て働いているかもしれない。
人によっては新しいことにチャレンジしようとお考えかもしれない。
心身ともに健康に、充実した人生を過ごせれば良いのだけれど、そうなれるだろうか?
おひとりさま(一人世帯)が増加している現実
厚生労働省の資料*1によれば、日本の人口は2008年をピークに減少に転じている。
そして、1990年には65歳以上の高齢化率は12.1%であったものが、2019年には28.4%と2倍以上になっており、さらに2040年には高齢化率が35.3%になると推計されている。
つまり、平均寿命が延びたことや、人口減により、社会の高齢者の割合が増えることが見込まれている。そして「おひとりさま」は増えていく。
社会の活力は維持できるのだろうか?
出生率の減少により日本の人口は減り続けている
人口動向の大きな要因となる出生率を確認してみよう。
第2次ベビーブームと言われている1970年代前半生まれは年間約200万人程度生まれていたのに、2019年は87万人と、なんと半数以下となっている。*2
出生数、合計特殊出生率の推移*3
人口の減少は未婚化や出生率の低下による影響が大きい。
国力を支える人、国の年金制度を支える人が減少していくことが容易に推測できる。
おひとりさま(一人世帯)が増加し、孤独死の可能性が増えている
続いて、世帯構成はどのように推移しているのか確認してみよう。
政府統計によると、一人世帯がじわじわ増えているのがわかる。
世帯人員数別世帯構成と1世帯当たり人員の推移
原因は未婚率の上昇や、高齢者の場合は配偶者との離別・死別などが考えられる。
加えて、地域や、親族との繋がりが薄くなっていると感じている人も増えているのではないだろうか。
若いうちから独身を貫く「おひとりさま」志向の増加とあわせて、一人世帯は増加しつつある。
家族や親族との連帯感が薄れる中、最後には、孤独死を迎える可能性がある、ということだ。
人生100年時代の生活の利便性の向上と変化


インターネットの普及で、たとえ一人暮らしであったとしても、生活の利便性はかなり向上した。
多くのことが、家にいながら対応することができるようになった。日本は治安も良く、暮らしやすくなっている。
そういう意味では、日常では家族や親族に頼る必要がなく、ライフスタイル革命が起きたといってもいいのではないだろうか。
ライフスタイル革命は情報化の進展の影響
個人の情報化に欠かせないスマートフォンは、今や生活になくてはならないものになっている。
手のひらサイズのパソコンとして、直近10年程度で急速に普及した。
情報化の進展
情報化機器の置きかわりスピードを考えれば、技術が変われば10年後にはスマホから全く違うものに取って代わられている可能性がないわけではない。
とはいえ、インターネットが普及し、特にスマホ利用者が急増後、インターネット経由での買い物(消費)をする人が増えているのは間違いない。
ライフスタイル革命とインターネットショッピング
インターネット通販は、世帯構成にかかわらず簡単に買い物ができる、非常に便利な仕組みである。だから、利用者はどんどん増えている。
ネットショッピングをした世帯割合の推移
家族で大型ショッピングモールに行く例はまだまだ多いかもしれない。
でも、インターネットで買い物することに抵抗が少なくなり、今や大型店や百貨店がECやネット産業に駆逐されている事例も出てきている。
通販(ネットショッピング)を利用すれば、個人が「家ごもり」(巣ごもり消費)で過ごすことは不可能ではなくなってきていている。
だから、例えば、一人でも、車が運転できなくても、これからの生活もなんとかなりそうな気がする。
インターネットショッピングとその配送網は、人生100年時代のライフスタイルを支える社会インフラとして、とても重要といえる。
ただ、あまりに便利になったが故に、老後、ひとりになった時の生き方をどうするかを真剣に考えることは少ないかもしれない。
とはいえ、ライフスタイル革命により、生活の利便性はある程度カバーできそうだ。
なら、現世を生きていくには、ライフスタイル維持の原資となる収入をどう確保するか、将来に向けてそこを考えておく必要がある。
最近はお金のことを話題にするのは汚いことではなく、大事で必然と考えるようになった。
おひとりさまは、収入の確保と計画的なライフプランニングが必要な時代の到来
人生100年時代と言われるようになった。
もし、あなたがそんなにも長生きするのだとしたら、周りの援助を期待しない、あるいはできない前提で、ある程度生活費などを準備しておく必要がある。
会社員として働いていれば、厚生年金に加入し、老後に年金を受け取ることができる。いつまで働くか、また会社員として勤めるのか、自営業者となるのかで納付する保険料や将来の受給見込み額は随分異なるけれど、老後資金のある程度は国からの年金で賄うことができる。
だが、国からの年金だけで十分だろうか?
「おひとりさま」のライフプランニングの重要性
ここまでみた通り、人口減や周りや自分を取り巻く環境の変化で、最後はどうやら一人きりを覚悟しなければならない気がする。
老後なんてまだまだ先のことではあるけれど、誰にも必ず老後は来る。
そしてある程度、計画的に事前準備の努力はできそうである。というか、計画的に準備していかざるを得ない。
「おひとりさま」の生き方|長くなる人生を楽しめる趣味の重要性
社会との繋がりが強い人は楽しく過ごせるだろう。
そうでもない人は、ペットの世話をしたり、ものづくりや芸術に打ち込む人が増えるかもしれない。生きがいを持てる趣味や仕事を持つことが大切になりそうだ。
継続して学ぶことが大切になる。
「おひとりさま」向けの終活ビジネスの誕生とこれから
近年は映画に出てくるような、人生の最後を家族に囲まれて過ごせる人は少なくなっているのではないだろうか。
統計的にはどうなのかわからないけれど、最後を家で迎えるより、生物的には生きていても意識は混沌とした状態で、病院で延命措置を施されながら最後を迎えることが多いのではないか。
それって幸せなんだろうか?
書店に行くと、エンディングノートなどが販売されている。
今は疎遠かもしれないけれど、最後は親族に世話になるだろう。そうすると、そこに迷惑はかけたくないと思う。
そう思ったなら、エンディングノートを使ってみると良さそうだ。身の回りの情報の整理ができる。
人生100年時代と言われることが増えた。
誰もが、いつか一人になり、その期間が長くなる可能性がある。真面目に向き合わなければならない問題だ。
将来の生き方をしっかり見つめなおしてみよう。